取組事例

➀ 大阪重粒子がん治療施設

建物の特徴
日本で6番目の重粒子線がん治療施設

RC造の遮蔽躯体とS造の複合構造からなっています。
特に重粒子線(放射線)を外部へ漏らさないよう壁厚が最大3mもある難しい躯体工事となりました。
コンクリート打継位置、支保工について現場と密な打合せを行い、作業動線を整理し、躯体施工は非常に良好に進めることが出来ました。

治療室は階高7.0m、勾配部のスラブ厚が4.8mもある二等辺三角形と非常に難易度の高い構造で、
鉄筋量、コンクリート量も多いことから支保工計画、コンクリート打設時の荷重や打継位置の検討が難航しました。
支保工にはハイパーシステムを採用し、ジャングルジムのような支保工の中、型枠工事を実施しました。

その他の曲面の通路や開口部の施工状況です。
品質も良好で綺麗なコンクリート仕上げになりました。

外部意匠は杉板模様のコンクリート仕上げにするよう指示があり検討を重ねて施工。
通常、杉板模様の型枠施工は現場での施工が主ですが、
今回は杉板模様の外壁をPC化する取組みとした結果、施工の幅が広がったように思います。
品質は良好で今後も挑戦していきたい取り組みの一つとなりました。

② 芦屋ベイコート倶楽部 チャペル棟

建物の特徴
ベイコート本体が豪華客船、
チャペル棟がクルーザーのイメージ

クルーザー船をイメージしてデザインされた湾曲躯体への挑戦となりました。
課題は船形躯体の曲面、勾配のパネル割、固め方そして先端39°から中間部80°まで展開する勾配の保持、高さも590cmと大きく、壁のコンクリート側圧に対応する支保工計画も必要でコンクリート打設前後の精度チェック方法の取り決めを行いました。

まずは船形躯体をイメージするために 弊社で、1/100模型を作製しました。
通常の船のように内部に骨格を組み、横板で組み上げる事が出来ないか検討しましたが、
湾曲した三次元的曲線にパネル割が上手くいきません。
そこで考え方を変え、各交点を座標化し距離及び角度を算出、展開図を作成しました。

その後検討を重ね様々な曲線と高さに対応出来るように建ちの調整可能な支保工を模索しました。
担当者は具体的なイメージがし易いように簡単な模型を作成。
どうしたらいいのかと眺める日々が続きます。
悩んだ末押し引きサポートを中心に一般サポートを突く案に決定。
コンクリート打設足場はサポートの間に枠組足場を組立てる計画としました。

実際の施工風景です。
外部の固めには曲面に馴染むよう関西ではあまり使用しない単管を採用。
外周の曲面を算出し、単管を曲げ、型枠を固めました。
船のイメージを保ちつつ、三次元的な曲面と勾配の保持に注意を払い建込みます。

完成です。
当初は難しいと言われていたチャペル棟ですが全員で力を合わせ、
検討に検討を重ね試行錯誤をした結果、非常に達成感のある躯体工事となりました。